日曜日, 9月 17, 2006

フィンランド

8月末から9月上旬にかけてフィンランドへ行ってきた。

エンゲストロムのところでは、最近、オープンソースとか、スケートボード、グラフィティ とか、バードウオッチなどの分散的な組織、活動に焦点化して研究しているという。このことは、昨年のスペインのISCAR学会でも、報告されていたが、今 回は、エンゲストロムにも関連したこちら側のプレゼンをすると同時に、 最近のプロジェクトについて詳しく聞くことができた。

なぜこういうことが面白いかというと、こういう活動には、新しいタイプの生き方、新しい人々のつながり方、新しい仕事や活動に対する面白さの見つけ方、こうしたことに伴う新しいテクノロジーの使用といったことがあるからだ。

組織論的に言えば、こういう活動では、中心、境界といったものが明確ではなく、分散的に、いろいろなところから出現してくるところが特徴だ。こうした活動や組織のあり方は、従来のワークプレイス研究とは全く異なっている。

それでは、エンゲストロムのところでは、こういうことをどのようにやっているのか。例えば、オープンソースについてどんな研究やっているかと思ったら、Open Officeだった。MLやBlogなどがデータ。

しかし、今、オープンソースやるなら、やはりウェブ系、とりわけweb2.0的なものだと思う。それに、データをMLやBlogだけにするのではなく、 Open Officeを仕掛けているSunにアプローチするとか、実際に、 やっている人々にあってみることが必要だ。それに、エンゲストロムたちがイノベーションを看板にしているとするなら、実際にやっている人々と同盟するとか、少なくとも使っている 側としてからんでいくということを考える必要があるのではないだろうか。

今のところ、例えば、グラフィティのコミュニティを研究するにしても、彼らはフィールドワークしかできない。しかし、例えば、グラフィティの研究をする際に も、書き込み可能なGoogle mapのようなものがあるとき、そういうコミュニティの活動になんらかの形で絡むことが可能になる。こういう技術が少しでもあると、フィールド・ワークの可能性もひろがるし、活動やシステムの再デザインもできるようになるだろう。

社会科学のフィールドワークや理論は、重要ではあるが、そこだけで勝負しても、多分、これまでとそう変わったことはできない。このところ、人々やテクノロジーの布置が大きく変わった。もう90年代をくり返すことはできない。これは活動理論だけではなく状況論でも同じだ。

0 件のコメント: