火曜日, 4月 18, 2006

バフチンとパノプチコンとweb 2.0

バフチンは、ドストエフスキー論の中で、ドストエフスキーの小説では、主人公がなんであるかは、主人公の声で語られるという。こうして、作者と主人公の関 係は対等になり、対話的な関係になるという。一方、モノローグ的な記述では、主人公はあくまで作者の視点、枠の中で語られるという。
おおまかに言えば、バフチンの対話性とかモノローグとは以上のようなことだ。

こうしたことは、小説に限らず、世界の記述のあり方の視点の問題とも言えるだろう。

しかし、モノローグ的であったり対話的であることは、それ自体として可能になっているわけではないだろう。

モノローグが可能なのは、例えば、パノプチコン的な人工物の構築によっている。ある高みからモノローグ的に、あるいは、”客観的に”何かを記述できるのは、それなりの制度、物質的な人工物があり、その中であるポジションを占めることができているからだ。

こういう特権性がなくなったとき、あるいは、ある程度水平的な交通が相互に可能になったとき、様々な異質なものの間の対話の可能性が生まれる。

対話的であることが可能なのは、別の見方をすれば、対話性を可能にするような交通のインフラがデザインされているからだ。

現 代的なウェブの世界に関連させるなら、例えば、blogが満ち溢れている中で、マスメディアやアカデミーが、従来のようなモノローグの主体であることは難 しくなっている。このようなことを見るなら、ウェブの世界で対話性を可能にするものも、また、人工物であり、水平的なアクセス、コミュニケーションを容易 にする、web2.0的なテクノロジーなのだ。

web2.0

日曜日, 4月 09, 2006

状況論のネットワーク

「状況論のネットワーク」というタイトルの原稿を書き終えた。80年代後半から90年代にかけて展開した理論的系譜と人々のつながりを紹介したもの。ごく簡単に要約すると以下のようになるだろう。

・理論、観点、
  いろいろな研究分野をクロスするもの。
  社会学、文化人類学、認知科学、コンピュータ・サイエンスが特定
  のテーマをめぐって同盟を形成した。

・テーマ、研究対象、
  ワークプレイス、人工物の使用、デザイン、実践といったもの。

・仕掛け人、拠点
  PARC とIRL(パロ・アルト)
状況 論の形成において、場所性は、大きかった。ネットワークのアレンジという点において。こうした場所のアレンジという点で、状況論を担った世代より一つ上の 世代のJ.S. Brownの役割は大きかった。
幅広いアプローチだった。様々な人々が集まる場が形成されていた。 関連する分野で、いま、それだけの集中力ある流れは存在しない。

しかし、現在、状況論の拠点と言える場所は存在しない。情勢も見えにくくなっている。PARCからサッチマン・グループは去り、IRLもなくなった。

80-90年代と比較するとテクノロジーなども大きく変わった。 例えば、web 2.0ということで代表されるような変化。状況論はこういった新しいテーマにどのようにアプローチできだろうか。

こちらからの仕掛けが必要かもしれない。そのことで見えることもあるだろう。

月曜日, 4月 03, 2006

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このサイトは、「仕事の中での学習」のサポートサイトです。関連研究ととともに状況論的な観点から様々なトピックを扱って行きます。